来月から創造的意思決定のトレーニングコースが始まります。今週はフリーオリエンテーション(参加無料・参加自由の事前ガイダンス)を行い、そこで3種類の意思決定があることを解説しました。

ひとつめの意思決定は、反射・反応です。何かに遭遇したとき、とっさに何かをすることです。これは瞬時に決めてしまうため、ほとんど「意思決定」だとすら認識していないこともあります。

ふたつめの意思決定は、対処・対応です。状況に対して何をしたらいいかを考え、決定して行動するものです。いわゆる問題解決の意思決定はこれです。世間で意思決定という場合の多くはこれに当たります。

そして三つめが創造的意思決定です。これは問題解決とは異質なものです。問題解決が問題をなくすためであるのに対し、創造的意思決定は結果を創り出すためにするものです。

この3種類の意思決定はどう違うのでしょうか。

反射・反応では、選択肢を検討するまでもなく決断・行動してしまいます。緊急事態における即断即決の場合もあります。しかしもっと多いのは、無自覚に惰性で決断しているケースです。怒りに任せて決断する。不安に駆られて決断する(あるいは決断しないという意思決定をする)。習慣的に何となく流れに任せる。そこに熟慮や熟考が介在することはありません。

それに対して、対処・対応では、問題のある状況で問題を分析し、問題を解決して解消するために意思決定します。このほうが反射・反応よりもずっといいとされています。しかし状況に主導権を与えている点では反射・反応と同じです。

「やられたらやり返す」が私のモットーです、とテレビドラマの主人公が言っているのを聞きました。とても面白いドラマでしたが、もし現実に「やられたらやり返す」をやっていたら悲劇の連鎖になるでしょう。ひどいことをされたらひどいことをやり返す、相手もまたやり返してくる、そしてさらに倍返しする、と自滅的なプロセスを保証します。

創造的意思決定は全く違うものです。どんな状況においても「自分たちは何を創り出したいのか」と問うことからスタートします。

自分たちの夢や希望、志や価値観、ビジョンや目標こそが主人公なのです。状況に主導権を渡したりしません。状況は出発点であり、夢や目標が終着点です。

このことを理屈として理解するのは大して難しいことではありません。しかし毎日の仕事や生活や人生全体を通して創造的意思決定を重ねている人はごくわずかです。そしてそれは学んで習得することができます。

2020年9月に本格スタートするトレーニングコースが今から本当に楽しみです。