いよいよセールスの構造革命が始まります。
ロバート・フリッツによる新著のゲラが送られてきました。といっても、ロバートはまだ書き始めたばかりです。書くそばからゲラを送ってきて、それを翻訳者の私が日本語にしていきます。その調子で来月には執筆と翻訳が終了し、編集と校正作業に移行する予定です。
セールスの構造革命とは何か。
今までほとんどの営業テクニックや営業教育が間違った前提からスタートしていたのです。営業マンは「売ること」が目標だと思い込まされてきました。それが間違いだったのです。
「売ること」が目標だと思い込んでいるので、
「どうやって売るか」
「どうやったら売れるのか」
「売上を最大化するにはどうしたらいいのか」
「失注しないためにはどうしたらいいのか」
「売れなかったときに何を分析すべきか」
などと、セールスについてあらゆる無駄な作業を行ってきました。
それどころか、売り上げを上げるために顧客を誘導して「いかに買わせるか」と話術やコミュニケーションスキルや潜在意識の操作などに腐心してきたのです。
こうした従来の営業テクニックや営業教育は全て間違いです。少なくとも、合理的で生産的で創造的なビジネスの実践からは程遠い、膨大な無駄であり、人間同士の信頼関係をぶち壊しにする有害なやり方です。
セールスの構造革命は、ビジネスの出発点から正していきます。
ビジネスとは顧客に物やサービスを売りつけて利益を上げるための活動ではありません。ビジネスとは20世紀の巨人ピーター・ドラッカーが喝破した通り、顧客の創造であり、市場の創造です。優れた物やサービスを創り出し、優れた物やサービスを顧客や市場に届けることによって、それまで存在しなかった価値を生み出すことです。
ビジネスは戦争だ、競合他社からシェアを奪うことだ、という間違った観念に支配されている人は、同じように顧客の財布からキャッシュを奪うことがセールスだと思い込んでいるのかもしれません。この時点で壮大な錯覚です。
お金を出して物やサービスを購入する顧客は(それが個人であれ法人であれ)自発的に価値を手に入れています。支払ったお金よりも大きな価値が手に入るからこそ対価を支払うのです。自発的な取引は取りも直さず価値の増大です(Creative Decision Making pp.221-222参照)。
では支払うお金よりも物やサービスの価値が低かったらどうでしょうか。もちろん購入すべきではありません。取引によって価値が減少してしまうのですから。
それではプロの営業マンがすべきことはなんでしょうか。それは価値の増大につながる取引を成立させ、価値の増大につながらない取引を回避することです。つまり、自発的な取引によってビジネスの価値を創造すること、それがセールスの目的です。
営業マンは自分の売る物やサービスについて知っています。一方、顧客は自分が買いたい物やサービスによってどんな価値を手に入れたいのか、はっきりと、あるいはぼんやりと知っています。セールスの目的は、両者の望む価値を明らかにし、そこに合理的で創造的な組み合わせが存在するなら、その取引を実現する手伝いをすることです。断じて「売ること」が目的ではありません。
古今東西の本当に優れた営業マンは、経験からこのことを知っています。だから決して顧客に売りつけようとしたりしません。
しかし優れた営業マンが経験的に体得していたことを、これまで体系的に習得できるチャンスはほとんどありませんでした。ロバート・フリッツが、その構造的アプローチで販売プロセスを体系化するまでは。
これは知る人ぞ知る方法です。そしてまだ世界のどこにも公開されていない方法です。この方法を学んだ人は、セールスが本当に創造的で、生産的で、ビジネスの最前線で価値の実現をサポートする愉快なプロセスであることを知ることになります。
今まで営業が嫌いだった人、セールスするのもされるのも苦手だった人は、この方法を知ることで世界が一変するでしょう。今まで体験的に優れたセールスをしていた人は、なぜ自分が成功していたのか、その成功をどうやって部下や同僚と分かち合うことができるのかを知ることになるでしょう。
セールスの構造革命は来年早々に本になり、Evolving社から出版される予定です。