今月17日にディベート道場のイベントで七夕杯ディベートコンテストが開催されます。トピックは「日本は核武装すべきか」です。

ディベートというのは単なるディスカッションや話し合いとは違います。ひとつのトピックのもとで肯定側と否定側のチームに分かれ、決められた時間と順序で論を張ります。両チームの話を分け隔てなく聞き届けたジャッジの人たちが最終的な結論を出します。

コンテストに出場する人たちは、ひとつの論題の肯定側と否定側の両方について準備します。七夕杯コンテストでは全てのチームが肯定側と否定側の両方を論じて予選を戦い、試合結果で上位2チームが決勝を争います。

日本は核武装すべきなのでしょうか。そんなことが可能なのでしょうか。そんな必要があるのでしょうか。それは日本や世界にとって良い結果をもたらしうることなのでしょうか。

コンテストに出場する人たちのほとんどは、もともと安全保障問題に深い知識や関心があったわけではありません。あくまでもディベートという競技のためにこの論題について考え、調べ、アイデアを出し、論を立て、どうやったら肯定、否定し切れるかに知恵を絞っています。

決して簡単なゲームではありません。しかし誰にでも参加できるゲームです。

そして単なるゲームではありません。ウクライナ情勢を持ち出すまでもなく、私たち一人ひとりが国民として真剣に考え抜く価値のあるテーマです。

興味深いのは、このトピックについてリサーチを始める前は「日本が核武装なんてとんでもない」と否定側の意見を持っていた人たちの多くが、あれこれ調べて考えていくうちに「核武装は有効な平和の手段かもしれない」「少なくとももっと具体的な論議を尽くすべきだ」というふうに考えが変わっていくことです。

最終的にどちらが正しいのかはわかりません。わからないからディベートするのです。しかしわからないながらも、結論を出すために何を考える必要があるのかがわかってきます。

そしてひとつのトピックについて考え抜いた後は、別のテーマについてもどうディベートしたらいいのか、どうやって意思決定を合理的に行うことができるのか、どうやって意見を異にする人たちと建設的な議論を交わせるのか、つまりディベートの技術が身につくようになっていきます。

物事を深く考え、幅広く観察し、はっきりと結論を出す能力を手に入れたい全ての人に私がディベートという活動を勧める理由です。

人材育成には無数の方法があり、その考え方も千差万別です。