2020年5月29日

1999年に六本木のDというレストランでランチしていたとき、Kさんという先輩に「OD(組織開発)の仕事をやりませんか?」と誘われました。

当時は経営コンサルティングに没頭しており、組織開発というよりも経営全般や事業全般に興味が向いていたので、YESでもなくNOでもなく曖昧に返事をしていました。

しかし実際にはその当時すでにKさんと二人で組織開発の仕事をしていたのです。ある外資系投資銀行の組織の制度を変え、風土を変えるためにコーチングを導入し、トレーニングを導入し、ワークショップをやり、いろんなことをやっていました。

「ODをやるぞ!」などという意気込みも決意もなしに、すでにODの仕事をやっていました。

その後、事業会社でコンサルティング事業のスタートアップをやってさまざまな浮き沈みを経験した後、2002年に独立し、最初に「ODやりませんか?」と誘ってくれたKさんと一緒に仕事を始めました。

当時は、ODのコンサルタントはいるものの数は少なく、ODのファシリテーターを名乗る人は日本にも海外にもほとんどいませんでした。名刺にODファシリテーターと書いたのは2003年だったと思います。「これはどういうものですか?」と聞かれたりしました。

そして組織開発についてブログを書いていたら、出版しないかと言われ、2006年に出版しました。「組織の当たり前を変える」というのがその本です。ちなみに「組織の当たり前を変える」という表現は本の中に登場しますが、松村さんという同僚が使っていた表現です。組織のnormsを変えることが組織開発だという意味です。

最近は突然のように組織開発が流行り出し、ODファシリテーターを名乗る人も雨後の筍の如く増えてきましたが、実際に組織開発に携わっている人が少ないことは変わっていません。私自身は、というと、エグゼクティブコーチングやファシリテーションという形態の仕事で結局ずっと組織開発に携わっています。

2006年の本には組織開発の新しい潮流について記述しました。その潮流は今も続いています。50年前の組織開発と今の組織開発とでは違っているのです。

今月スタートしたオンラインファシリテーションマスタークラス(OFM)でも組織開発のテーマは取り上げていきます。でもファシリテーションは非常に実際的な技術なので、潮流だのといった話は脇に置いておきます。世間の潮流がどうあろうと、ファシリテーターは自分の頭で考え、創り出したい未来のために具体的に行動し、日々できることをやり遂げるだけです。

組織開発は理論ではなく、たゆまぬ実践なのです。