ちょっとした気まぐれのホリデー気分でお年玉プレゼントに15分コーチングをオファーしたら8人の奇特な人たちが希望してくれて、zoomでコーチングした。

zoomだと15分のコーチングを15分でできる。会議室や喫茶室のようなどこか静かなところに行ってお茶を飲んで、「ではやりましょう」と言って始め、終わったら握手して別れる、みたいな手続きが不要。(とは言っても早めに部屋を開けたり、終わってから世間話したりすることもあるけど。)

コーチングというのはコーチが施すものではない。コーチはもちろんプロの責任と技能とで場をコントロールするが、コーチングにおいて重要なワークのほとんどはクライアント自身が行う。コーチはクライアントの学びと発見、決断や行動、成果と成長を見守る助産婦のようなものだ。

8人の奇特なクライアントの人々のおかげでいい年明けになった。

もうひとつ、これまた年末年始の気まぐれのプレゼントで、SCCPプログラム(構造コンサルティング認定プログラム)参加中の人の数名のコンサルティングセッションの英語訳を引き受けた。英語にしてアメリカに送ってロザリンド・フリッツの添削を受けるのだ。こっちはコーチングよりも大変だった。引き受けてから後悔しても遅い。コーチングは15分で終わるが、翻訳は何時間もかかる。肩も凝るし目も疲れる(頭はそれほど疲れない。それほど使っていないからか)。

しかし翻訳作業というのは取り掛かれば勢いがつき、そして取り組めば必ず終わる。いつ終わるかはわからないが必ず終わる。

このことは2018年に自意識と創り出す思考(Identity)の監訳に関わった時に痛感した。2019年の偉大な組織の最小経路(The Path of Least Resistance for Managers)、2020年のYour Life as Artの翻訳も同じだった。始めるときは「こんな大著を自分が訳せるのだろうか」と圧倒されながら始めるが、始めてみれば作業に没頭し、そしてやがて必ず終わる。

山登りと同じだ。麓から山頂を見上げると「こんな馬鹿でかい山を自分が登れるのか」と圧倒されるが、地図とコンパスを頼りに登り続け、事故や事件がなければ必ず山頂に到達する。

ただしそれは地図やコンパスのある登山の場合だ。前人未到の未開の地を切り開くような冒険の場合は違う。行手に何があるのかわからない。道があるのかすらわからないし、進めば終わるのかどうかもわからない。

仕事の多くは真面目に取り組めば必ず終わる。終わるとわかっている仕事に実直に向き合うのも悪くない。

しかし仕事の中には未踏の大地のような冒険もある。行ってみなければわからない。計画通りに進まない。想定外の出来事が連続する。

今年も地道な仕事に加えて少しの冒険をしてみよう。冒険の面白さを味わいながら堅実に仕事をしよう。

お年玉プレゼントを終えて2021年の地図とコンパスをアップデートした。気まぐれなプレゼントを受け取ってくれたクライアントや受講生に感謝している。