昔は起業というと2種類のイメージがあった。

ひとつは野心と才能に溢れた若造が一攫千金を目指して金を集め、人を集め、新しい事業を興し、成功すれば上場したり売却したりして億万長者になり、失敗すれば路頭に迷う、または再起して同じことをトライするというイメージ。

もうひとつは脱サラのイメージ。会社勤めのおっさんが勤めを辞めて自分の商売を始める。給料を貯金して事業資金にし、全く新しいビジネスをやる場合もあるが、会社員時代の人脈や知識や技術を活かして同じ業界で小さな会社をやったり、元の勤め先の大きな会社の下請けをやったりする。

ちなみに勤めを辞めて家業を継ぐのは起業とは言わない。

要するに青二才が天才なら起業して成功するか、おっさんに商才や商運があれば生き残れるというイメージだ。

二つとも現実として今後も続くだろう。

しかし今の時代の起業はまるで違う。

55歳や65歳では仕事人の人生は全く終わらない。むしろ始まったばかりかもしれない。人生百年時代が本物なら、かつての定年退職の年齢がスタート地点になる。老後とか余生という言葉は全く似合わない。

こないだも言った気がするけど、60代になってもまだ働かなきゃいけないのか、というネガティブな仕事観もある。豊かな年金暮らしや隠居生活を望む人たちもたくさんいる。

しかし仕事の真の報酬は金銭以上のものだ。自分が価値を提供し、それによって社会や経済を豊かにすると同時に自分自身の人生を豊かにするものだ。

これは絵空事ではないし、一部の奇人変人の幸運な物語でもない。

40代、50代、60代に心身ともに健康で、若い頃には得られなかった知恵と活力を背景にして、起業家の黄金時代が始まる。