休息には二種類あります。デフォルトの休息とデザインした休息です。

疲れたから休む、というのがデフォルトの休息です。

健康で元気な人は疲れるまで働いたり遊んだりして、「ああ、疲れた」と言って休みます。頑健で病気知らずで風邪もひかない、風邪をひいたくらいでは仕事を休まない、という人は倒れるまで働いてしまい、気がついたときは心身に不調を来たしていることがあります。

あらかじめ計画的に休むのがデザインした休息です。

プロのアスリートはたいてい計画的・戦略的に休憩をとります。ハードな肉体トレーニングをしたら必ず休みます。トレーニングは肉体にダメージを与えます。休息することにより回復する必要があります。そして回復のプロセスで肉体が強靭になり、トレーニングの目的を達成するのです。

私たちはプロのアスリートに学ぶべきです。もっと休息をデザインする必要があるのです。「疲れたから休む」では足りません。それは「泥棒を捕らえて縄をなう」に似て、遅すぎるのです。

私自身、若い頃に自分の健康を過信して働きすぎた経験があります。仕事に没頭しているときは仕事の目的を達成することが最優先なので、多少の疲労や発熱など無視して働き続けることがあります。

それが間違いです。

「なかなか疲れがとれないな」などと言ってマッサージを受けたり栄養ドリンクを飲んだりして蓄積した疲労をどうにかごまかそうとします。眠れないと言って睡眠薬を飲む人たちもいます。

私はハードワークと精神的ストレスがたたって30代前半に具合が悪くなり、それをきっかけにして真剣に健康を重視することになりました。

転職し、スタートアップの事業に携わり、戦略コンサルティングファームに勤め、相変わらずハードワークではありましたが、どんなときも「休み休み仕事する」ことに決めました。連続して集中して仕事をしたら、必ず連続して集中して休憩するのです。

当時は慢性的な寝不足でしたが、プロジェクトの山場が前もってわかっているときは、あらかじめ多めに寝て心身を休め、スタミナを温存していました。スポーツ選手のようなピークマネジメントに自己流で取り組んでいたのです。

その後、独立起業してからは自分自身で休息と勤労のバランスを設計し、「決して無理をしない」働き方を心がけています。

それでも2020年には予想外の不調に見舞われました。そう、ステイホームで在宅の仕事が増え、運動量が減り、座り作業が増え、足腰に来たのです。「サッカーをやっているから運動不足にはならない」という油断もありました。

コロナのおかげでテレワークが増え、通勤時間が減ったのは明らかな朗報です。しかし自然なエクササイズが減り、私たち一人ひとりが自分で休息をデザインする必要が今まで以上に増しているのではないかと思います。

皆さんは自分の休息をどうデザインしていますか。