世間には高い志で活動している人たちがたくさんいます。私の周囲で活動している仲間やクライアントの多くもそうです。彼らは自分ひとりの利益のためだけにではなく、他人のためや世間のために貢献することに意味を見出し、献身的に働いています。

私自身にもそういうところがあります。19年前に設立したメタノイアという会社の名前が「愛のため」の逆さ言葉になっているのは、わざわざ苦難の多い独立事業をやる以上、金のためじゃなく愛のため、愛するもの愛することのためにしよう、という考えの表明でもあります。

もちろんビジネスにとって利益は非常に大切です。利益がなければ持続していくことができません。利益は会社というエンジンに必要な燃料のようなものです。

しかし利益は目的ではありません。会社が人のため世のために貢献していく事業装置である以上、燃料ばかりを稼いでも無意味なのです。それがメタノイアの影の意味です(表の意味はギリシア語で別にあります)。金のためじゃなく、愛のためなのです。本当にそうなのです。

ですから、損得勘定で事業を見るだけの人には「そんな苦労ばかり多くて益の少ないことをやって何の得があるのだろう」と思われるようなことを非常に熱心にやっているように見えるようです。損得勘定のみの世界観・メンタルモデルでは、それを超える活動の背後にある思考は理解できないのです。理解できないためにいろんな邪推をするわけです。

古来の言い回しであえて言うなら「燕雀焉んぞ鴻鵠の志を知らんや」ということになるでしょう。