皆さんは日頃どうやって物事を決めているのでしょうか。

人生もビジネスも意思決定の連続です。他の誰でもない、自分自身の決めることによって自分の仕事や生活が変わっていきます。

意思決定のほとんどは小さな決定です。毎日小さな決定を重ねることによって人は自分の状況を作り出しています。

何も決めなければ状況に流されることになります。状況に流されていながら、自分では何も決められない、などと言うのは、状況を作り出す自分の権利を放棄しているのも同然です。

いい決定をすれば、いい結果がもたらされます。悪い決定をすれば、悪い結果がもたらされます。

意思決定の中には単純明快なものもあれば、複雑怪奇なものもあります。何がいい決定なのか、考えるまでもなくわかることもある一方で、どれほど考えても正しい答えなどわからない、やってみないとわからないこともあります。

ディベートで扱うのは複雑で難しいテーマです。国の政策をどうするのか。これまでの政策を継続すべきなのか、それとも変えるべきなのか。公衆衛生をどうすべきなのか。安全保障をどうすべきなのか。エネルギー政策をどうすべきなのか。天下国家を左右するような大きな課題について、地道に調べ、根っこから考え、遠慮会釈なしに議論を戦わせ、試合ごとに第三者のジャッジが判定を下します。

複雑で困難な課題を分析して結論を出す。これをゲーム形式で何度も何度も繰り返し行います。

ひとつのトピックについて何週間も何ヶ月もディベートすると、その領域で何を考えるべきなのか、どう考えるべきなのか、どんな事実があるのか、どんな可能性があるのかが見えてきます。ディベートを始める前には門外漢だった人が、ひとつのディベートシーズンが終わると専門家と対話ができるほどに詳しくなります。

しかし競技ディベートに打ち込むのは、必ずしも当該領域に詳しくなることばかりが目的ではありません。公共政策の議論に強くなることばかりが目的でもありません。もっと身近な、自分自身の周囲の意思決定に強くなることが狙いなのです。

誰でもディベートに参加することができます。誰でも合理的意思決定の方法を学ぶことができます。誰でも頭を鍛えて物を考える力を手に入れることができます。

皆さんは日頃どうやって物事を決めているのでしょうか。もし自分の意思決定力をアップグレードすることに興味があったら、ディベートを学んで実践してみてください。ただ単に議論に強くなるのではなく、意思決定の議論に強くなる可能性があります。