世間では優しい人たちが
「もっと自分を大事にしよう」
「もっと自分に優しくしよう」
「自分を責めたりするのをやめよう」
「自分の願いを大切にして生きよう」
などと善意のアドバイスをしている。
もちろんこれらは全て正しいことを示唆している。しかし必ずしもいいアドバイスとは限らない。
なぜなら、根底にある構造、すなわち無意識の哲学を放置したままでこういうアドバイスを受けても、かえって葛藤を強化して苦しみを増やしてしまうからである。
どういうことかというと、自分を大事にしていない人たちや自分を責めたりする習慣を持つ人たちは、利他主義の洗脳によってそれをやっているのであり、自分を責めたくて責めているのではないし、自分を大事にしたくなくて大事にしていないのではないからだ。
セラピーでもコーチングでもコンサルティングでも、相手(クライアント)がなぜ自滅的な振る舞いや自己犠牲的な意思決定をしているのかを「理解すること」なしにアドバイスしても、それは役に立たないだけでなく、かえって相手を苦しめることになりかねない。
世間に流布する善意の助言や、もっともらしい自己啓発書の類が、人生を良くすることに役立たないばかりか、かえって悩みを深くしてしまう理由がこれである。
言ってることは正しい。しかし役に立たない。それどころか有害だ。
人にアドバイスする人は、アドバイスする前に相手の構造を理解することに努めなくてはならない。