STARクラブの始まり

2008年にMIT(マサチューセッツ工科大学)のピーター・センゲが初来日してから、にわかにシステム思考の小さなブームが始まりました。

これがSTARクラブ発足のきっかけです。

私は学生だった1980年代にMITのジェイ・フォレスターによるシステムダイナミクス(アーバンダイナミクス)を知って以来、システム論の虜になっていました。物事は直線的な因果関係ではなく、複雑でダイナミックな因果の連鎖によって成り立っており、良かれと思って資金を出したり支援をしたりしたことが想定外の最悪の結果につながったりするのです。動的なシステムを理解すれば、余計な介入を減らすことで社会をよくすることができる。問題を発見して解決しようとすることでは決して得られない根本的な理解や洞察がそこにはありました。

思えば、現在STARクラブで取り組んでいることの根底にも同じ発想があります。

STARクラブでやっていること

世の中の多くの人たちは、大きな問題や小さな問題を解決することに一生懸命です。それは職場の問題かもしれないし、家庭の問題かもしれません。会社の課題かもしれないし、社会の課題かもしれません。現在の問題かもしれないし、未来の問題かもしれません。しかし問題解決や状況対応に追われている限り、長い目で見たときの世界は変わらないのです。いや、変わらないどころか、むしろ悪くさえなってしまうのです。

2008年に「システム思考を学んで自分の仕事や人生に活かす」というテーマで5名以上人が集まったら研究会を開こう、と言って始めたのがSTARクラブでした(STARは Systems Thinkers’ Applied Researchの略で、研究会の名称のために考案した頭字語です)。

それから12年目になるSTARクラブは、その根本の精神と目的において変わっていません。しかしシステム思考という核からは大きく活動範囲を拡げています。

複数のコンテンツを個人の目的のために統合していく

コアの活動である毎月第4木曜日の月例研究会以外に、

各種読書会
ディベート道場
ファシリテーション/コーチングマスタークラス
外部の先生を囲む会
呼吸法と瞑想クラス
マンスリーワークショップ(STARクラブセミナー)

などが定例の活動となっています。

月例研究会では、そのときの最新のトピックを取り上げたり、研究の中心である創造プロセスや構造力学(ロバート・フリッツ)、システム思考や複雑系思考(カネヴィンフレームワーク)、インテグラル理論やプロセス指向心理学(プロセスワーク)などの規律や学問、方法論やスキル体系を何度も再訪し、実践的な学習とトレーニングを重ねています。

STARクラブで開催している各種活動は、参加する人が自分自身の成長や発展を志し、仕事やコミュニティや人間関係において本領を発揮できることを狙っています。クロストレーニングと言って、頭を鍛える・心を磨く・身体の声を聴くなど、いろいろなアングルから総合的に自己教育をしていきます。全てが自分の選択で創り出したい世界を創造することに結びついています。参加する一人ひとりの志や価値観、人生状況やタイミングに応じて、好きな活動を選んで参加することができます。

STARクラブは、学ぶ意欲と余力に恵まれた人であれば誰でも参加できます。

学ぶということは決して苦難ではなく、愉快な遊びのようなものであり、同時に体を張った現場における真剣な実践と直結しています。そのことを何度も何度も痛感しています。縁があってSTARクラブに集った仲間の人たちが、それぞれの職場や持ち場で学んだことを活かし、自分の世界を変えていくのを目撃しています。

学問分野を超えて学び、自分の仕事や人生を創り出したいという志、いや、知的好奇心を持つ人は、ぜひSTARクラブに参加することを考えてみてください。今回のパンデミック危機をきっかけにしてzoom開催の会が増えており、遠隔参加が容易になっています。

STARクラブが目指していること

権威の言うことや世間でもてはやされている理論であっても、自分が理解して納得できなければ意味がありません。STARクラブでは、あくまでも自分の頭で理解して自分の心で感じ、自分の身体で実践して成果を得ることを大切にしています。

では、その成果とは何でしょうか。

一人ひとりが自由な心と創造的な精神を育むことです。その自由と創造性が社会や組織を変えるパワーとなることです。

社会変革や組織改革のために個人が自己犠牲を払うのは本末転倒だと私は考えています。よりよい世界を創り出すために個人が不幸になる必要はありません。まず自分自身から自由になり、まず自分自身からクリエイティブになり、まず自分自身から幸福になり、それを世界で分かち合ったらいいではありませんか。

 Be the change you want to see in the world.

(世界を変えたいと思うなら、まず自分自身がそれになることだ)

マハトマ・ガンジー

この言葉はよく引用されるのですが、私たちはまず自分自身から実践して変わっていくことを志しています。

About us

素晴らしい先生や仲間のサポートを受けて3人で企画・運営しています。

・主 宰  田村 洋一(メタノイア・リミテッド チーフコンサルタント)

組織開発ファシリテーター。企業人教育、エグゼクティブコーチング、企業組織でのコンサルティングの豊富な実践経験と、多くの優れた教育家・コーチ・コンサルタントから学んだ経験を持つ。 2002年からメタノイア・リミテッド代表、ピープルフォーカス・コンサルティング顧問。ジェミニ・コンサルティング、野村総合研究所、シティバンクに勤め、日本、欧州、アジア、アメリカで大小さまざまなプロジェクトのマネジメント、国際的活動に携わる上で、ファシリテーションの多様なスタイルと方法論を身につけている。著書に『人生をマスターする方法』(2008年)、『組織の「当たり前」を変える』(2006年)、『プロファシリテーターの話がまとまる技術』(2011年)、『CREATIVE DECISION MAKING 意思決定の地図とコンパス』(2021年)、共著書に『組織開発ハンドブック』(2005年)、『不確実な世界を確実に生きる―― カネヴィンフレームワークへの招待』(2018年)、監訳書に『自意識(アイデンティティ)と創り出す思考』(2018年)、翻訳書に『偉大な組織の最小抵抗経路 リーダーのための組織デザイン法則』(2019年)、『Your Life as Art 自分の人生を創り出すレッスン』(2020年)、『地に足をつけて生きろ』(2022年)がある。

・事務局  森山 千賀子メタノイア・リミテッド グラフィックファシリテーター)

・コンテンツ編集  糸賀 祐二Evolving 代表)

Teachers

  • ロバート・フリッツ & ロザリンド・フリッツ(クリエイティブプロセス & 構造思考)
  • 神田晴彦氏、北野宏明氏、佐藤義典氏、鈴木健氏、友末優子氏、森川勇治氏、山中礼二氏(ディベート)
  • デイブ・スノーデン(カネヴィンフレームワーク)
  • ヤロン・ブルック(Ayn Rand Institute)
  • アーノルド・ミンデル & エイミー・ミンデル(プロセスワーク)