いろんな計画や目標があっても、その多くは実現せずに終わる。

なぜなのか。

計画の完成度が低いからなのか。

目標の立て方が悪いのか。

本当に実現したい目標ではないからなのか。

いやいや、実行する能力が足りないからなのか。

実現したいという強い気持ちがないからなのか。

それとも計画や目標というのはそもそもそういうもので、実現しないほうが普通なのか。

どれひとつとっても一理ある説明だ。

しかし構造力学で言うと、簡単な理由であることが多い。

緊張構造がないからだ。

緊張構造とは何か。

実現したい目標があって、まだその目標を実現していない今の現実がある。この二つの間に緊張が生まれる。この緊張は、心理的な緊張や不安とは全く違う。的に向かって弓に矢をつがえたとき、弓がピンと張って緊張している。この物理的な緊張のことを緊張構造と呼ぶ。

計画や目標の多くには、この緊張が欠けている。計画倒れに終わる最大の理由は緊張構造の欠如だ。

目標を立てても、今の現実を見ていない。自分にどれだけの時間があるのか。必要な時間をかけられるのか。自分にどれだけの力があるのか。力は足りているのか。力が足りていないとしたら、他の人の力を借りることはできるのか。準備して学習することによって自分の力を伸ばすことはできるのか。

計画を立てても、今の現実と目標の間に緊張が生まれていない。何をしたら目標に近づくのか。今の計画を実行したら目標が実現できるのか。変化していく現実の中で、計画をどう変えたらいいのか。

緊張のない計画はただの紙切れであり、緊張のない目標はただの憧れにすぎない。

緊張構造の有無が成否を分ける。これは全くありふれたことではない。規律と訓練と経験が必要だ。ただの計画作成や目標設定とはまるで違うのである。