2020年7月10日

知事選の投票をどうしようかと考えあぐねているときに、ある本のタイトルが目に留まりました。「危険人物をリーダーに選ばないためにできること」というタイトルです。英語の原著は Why We Elect Narcissists and Sociopaths and How We Can Stop(なぜ私たちはナルシシストやソシオパスを当選させてしまうのか、そしてそれを止めるにはどうしたらいいのか)です。

これは本当に重要な本です。

著者によると、世の中には一定の割合でパーソナリティ障害の人たちがいて、なかでも自己陶酔型と反社会性の障害を併せ持つ人物は非常に危険だというのです。彼らは自分のことで頭がいっぱいになっており、他者への共感が欠如していて、平気で嘘をつくばかりか、他人を傷つけたり貶めたりしても全く良心の呵責を感じないのだそうです。

日頃そういう人たちに接することの少ない私にはこれだけでも驚愕の事実なのですが、話はここからです。

そういう危険な言動が当たり前の人たちの中には、政治に興味を持つ人が一定の割合で存在します。彼らは非常に強い支配欲を持ち、他人を支配するために手段を選ばず、驚くほど残酷な攻撃や非常識な策略を使って自分の権力を高め、手にした権力を濫用します。

著者はそういう人たちをHCP(High Conflict Personalities)と呼びます。

HCPが政治の世界に参入するときの手口はいつも同じです。架空の危機をでっち上げ、共通の敵を攻撃するために感情戦を繰り広げます。自分の魅力と才能を使って攻撃の片棒を担ぐ人たちを手なずけ、敵対するグループを分断し、危機を解決するヒーローは自分だと宣伝します。

HCPは国や自治体のトップに上り詰めることがあります。企業のトップに上り詰めることもあります。暴力団などの反社会組織・犯罪集団の親玉になることもあります。

私たちのほとんどはHCPではありません。少し自己愛が強いとか、ときどき決まりを破るとか、そのくらいでHCPにはなりません。HCPは確信犯です。自分の支配欲を満たすために平然と人を裏切ります。何も問題がないところに問題を作り出し、マッチポンプよろしく自分に注目を集め、しかもそういう自己破壊的な行動を反省することがなく、言動を改めようともしないのです。

これはおそらく全ての有権者が読むべき本です。まだ読み終えていないのにこうしてレビューを書き出したのは、HCPが世界中のあちこちに跋扈していることに背筋が寒くなったからです。

私たちはどうしたらいいのでしょうか。私たちに何ができるのでしょうか。